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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(あ)1381号 決定 1950年9月30日

主文

本件上告を棄却する。

当審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人渡辺酉藏の上告趣意について。

所論和歌山地方検察庁が鹿兒島地方検察庁に対して為した前科調回答の電信訳文は、その成立及び書式の点から考えると、明かに刑訴法三二三条三号に該当する書面と認められるから、たとい被告人の同意がなくとも証拠とすることができるものである。従てこれを証拠として前科を認定したからといって、刑訴法の違背があるものということはできない。所論は単なる刑訴法違反の主張に過ぎないから、刑訴四〇五条による適法な上告理由に当らない。次に所論原判決に対する量刑不当の主張については、記録を精査しても刑訴法四一一条を適用すべき事由を認められない。

よって刑訴法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項により裁判官全員一致の意見で主文の通り決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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